特殊な塗料とは

特殊塗料

建築用塗料は、素地種類によって分類され、それぞれの素地に対する要求性能を満足させる塗料と、それぞれの素地や住空間等が特殊な機能をその表面に求める場合に塗装する塗料とがあり、後者の場合にこれを特殊塗料として分類し用いている。
これらの中から、建築に多用されているものを選択し、その特性を以下に説明する。

①防かび塗料

高温多湿の条件下にある住空間の内部は通風が悪く、日当りが悪い場合に必ずといってよいほど、かびの発生をみる。かびの種類は多種類にわたり発生する。
防かび、塗料はこのような悪条件下に塗装することによって、かびの発生を防止することを目的とするものであるが、防かび、剤において、水銀系の薬剤が毒性の問題により使用できず、現在は無毒性の防かび剤を用いており、その効果は室内条件にもよるが有限である。

塗料の種類としては、塩化ピニル系、アクリル樹脂系の溶剤タイプから有光沢合成樹脂エマルションペイントにいたるまであげられる。

これらのいずれも、光沢のある汚染物の付着しにくいタイプに防かび剤を添加したものである。

②耐熱塗料

建築物において設備関係を中心に常時または一定時間において高熱をおびる部位があり、その部分の防食を含めた保護を目的とした塗装が求められる。
しかし、塗料は有機化合物が主成分であり、315℃程度が熱分解温度であるため最適な塗料は少ないが、温度別に示すと次の事項があげられる。

◎50~120℃以下
この程度の温度としてはアクリル樹脂、アミノ樹脂、アルキッド樹脂系塗料があげられる。

◎200~500℃以下
主に、シリコン樹脂を展色剤として高融点のアルミ化合物、亜鉛末ステンレススチール粉末などを顔料として用いた塗料でポイラ、煙突の耐熱塗料として用いられる。

◎500℃以上
プチルチタネートにアルミ粉末を配合した塗料で、高温部のポイラ、煙突に用いる。

◎その他
200~300℃の温度を長時間耐える無機質系シリケート塗料に、有機りん酸化合物を硬化剤として使用する塗料が開発されている。

③熱反射塗料

石油タンク、冷蔵庫など、室内の温度が太陽光線によって上昇しすぎることを防止するために用いる塗料に熱反射塗料がある。